俺が彼女と出会った場所は、実は二か所ある。
だから、どちらを出逢いの場所と言ってらいいのかは判らない。
時系列で言うと初めて出会ったのは、何とソープだった。
そう、彼女はその時ソープ嬢をしていたと言う訳だ。
小柄で、色白の可愛らしい娘だと言うことが、ソープで出会った彼女の印象だった。
初めてソープで働いたらしく、何をするにも初々しく可愛らしい彼女に対して、俺は好印象を持ったので、その後何度か指名をして通った。
回数が重なると次第に彼女は打ち解けてきて、情のこもった対応をしてくれるようになり、なんだか時間限定の恋人みたいになってしまい、俺は更に足繁く彼女に会いにその店に通った。
幸い、俺はちょっとした会社を経営していて、金には困ることがなかったので、時間を作っては通うことを繰り返していたという訳だ。
そんなある日、俺は大塚で客と会い商談を済ませてから、寿司屋によって飯を食うことにして店を物色していると、すぐ脇を顔を伏せるようにして通り抜ける小柄な女性がいたことに気付いた。
彼女だ、と直感した俺はなるべく他の人に目だ立たないようにして傍まで行き「Nチャン?」と小声で声をかけた。
「えへ、ばれちゃったわね。私、住まいがこの近くなの」と、彼女が俺の方に向き直り言った。
「そうか、この辺に住んでいるのか。
じゃ〜丁度いいと言うのか、この辺で美味しい寿司屋があったら教えてくれないか。
これから晩飯なんだ。
もし、Nチャンの予定がないのなら付き合ってもらえると嬉しいけれど?どうかな」と俺はちょっとした想いをこめて言った。
「え! 私と食事ですか。でも、いいんですか?私と食事何て」と彼女はつつましく言う。
「ああ、勿論Nチャンと食事ができれば嬉しいよ。
でも、無理はしないでくれ」 「あ、ええ。というか、はい、ご一緒させていただきます。
それと、お口にあうかどうかは判りませんけれど、私がたまにいくお店は悪くないと思います。
よろしかったらそこへ」と彼女は言う。
歩きながら彼女の本名は“薫”だと言うことを聞きだした。
薫が連れていってくれた寿司屋の寿司は旨かった。
薫との会話も楽しかった。
これが時系列で言うと二番目の出逢いなのだが、その後、薫はソープを辞めてごく普通の中小企業のOLとして働いている。
そして、今は俺の大切な彼女になっていると言う訳だ。
何か不思議な、そして偶然の出会いが二番目の出会いだから、俺としても薫としても二番目の出会いを初めの出会いと思いたいと言う訳だ。
偶然の悪戯、それとも運命の赤い糸なのだろうか。
これからも薫を大切にしていくつもりだ。
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